プロフィール:嘉糠洋陸
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この判決、まずいと思うのは私だけ?? 今日まで、私はもしかしたら結構な確率で「無罪」判決が出るのでは…と思っていました。「疑わしきは被告人の利益に」という考え方にもとづけば、判決骨子等を読む限りは他の容疑者存在の可能性と、林被告が犯人の可能性の間にそんなに「差」はないと感じます。これは極めて科学者的な考えですが、Spring-8まで使って不純物解析して”同一”と判断された亜ヒ酸も、コントロールはなんですか、同じメーカーから買えば、同じロットはたくさん存在するでしょう?とか、亜ヒ酸混入推定時刻から事件発生まで数時間(!)、いったいどこの素晴らしい町内会でその時間をほぼサーベイできるんですか?とか、「状況証拠」がactiveじゃなくてpassiveに聞こえるモノばかりなんですよね。しかも「動機」は結局不明ときたもんだ。私の率直な印象は、8割は有罪ですが、残りの2割に疑わしさが残る…自分が裁判員ならば、きっとそう言うでしょう。 そして同じく今日あった別の事件報道。 幼児殺害の罪で無期懲役が最高裁で確定した、1990年の足利事件(←このリンクは被告を擁護する側のサイトです)。これに関する東京高裁決定の再鑑定で、主たる証拠だった「DNA鑑定結果」が間違っていた可能性が濃厚とのこと。……た、頼むわ…(苦笑)。いったい、どういうことですか?これも研究者の考え方からすれば、あり得ない。何が間違っていたのですか?コンタミ?それとも再現性?それは共に可能性がありますけど、学部生でも卒業研究で厳しく指導されることのはず。そんなことで「無期懲役確定」。泣きベソじゃ済みません。 …十勝で最近、記憶の彼方に葬り去られた事件を思い出します。 2007年、帯広農業高校脇で発見された女性の白骨死体。すぐさま近所に住んでいた元夫の男性の方が逮捕され、しかしこの時点で私は「?」。そんな近くに捨てるわけない、自分だったら日高の山奥でもどこでも車走らせて遺棄するだろう、と思っていました。容疑者の男性は当初から一貫して否認。警察の徹底的な家宅捜査でも物証が出ず。結局(ここ大事!)、白骨死体遺棄事件のほうでは不起訴処分(釧路地方検察庁は過去のDVで起訴し、後に有罪)。これはイコール、現時点では「無罪」です。実は、この容疑者の弁護士と私は何度かお会いしたことがあるのですが、「悲惨な案件だ。彼はもう、十勝では二度と仕事ができないだろう」…。 この3件の話を聞いて、「でも”やってない”とは言い切れないだろう」と思ったアナタ。研究者は「やった可能性」と「やってない可能性」を同等に扱うのがその本分です。それはすなわち、「作業仮説」のYes/Noの徹底検証と同じなのです。
by hirokanuka
| 2009-04-21 22:42
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